キミの願いを
だけどそれは、1秒にも満たないような一瞬だった。
あたしの前を、素通りする先輩たち。
「今日?どーしよっかなぁ」
「ねぇ、ひかるぅー」
………気づいてた。
あたしに気づいてた。
それなのに……。
昨日までのことが夢だったかのようで。
また、輝先輩に憧れるだけの昔に戻ったかのようで。
だけど、前と違うのは…
昨日のことは夢なんかじゃないから、もう笑ってもらうこともできない。
あんな風に断っといて、輝先輩はあたしのことを待ってくれるかもだなんて、
…あたし、自惚れてたんだ。
あたしなんかと本気で付き合ってくれるなんて
ありえなかった――。