キミの願いを

だけどそれは、1秒にも満たないような一瞬だった。






あたしの前を、素通りする先輩たち。




「今日?どーしよっかなぁ」


「ねぇ、ひかるぅー」








………気づいてた。




あたしに気づいてた。





それなのに……。









昨日までのことが夢だったかのようで。




また、輝先輩に憧れるだけの昔に戻ったかのようで。




だけど、前と違うのは…




昨日のことは夢なんかじゃないから、もう笑ってもらうこともできない。







あんな風に断っといて、輝先輩はあたしのことを待ってくれるかもだなんて、



…あたし、自惚れてたんだ。







あたしなんかと本気で付き合ってくれるなんて







ありえなかった――。




< 81 / 146 >

この作品をシェア

pagetop