ツンデレ彼氏をGETしろ!

お姉さんは赤いコップを両手で持って話しだした。

「親がねぇ、居ないのよ。ずっと前に交通事故で死んだ。
二人とも売れ筋ファッションデザイナーで色んな所を行き来してたの。
この家はその二人が達也の高校入学祝いに一人暮らし用に買った最後のプレゼント。
あ、今は私がファッションデザイナーで稼いでるのね?
結構人気だから忙しくてさ。家は一応ここに置いてる。
あの子には色々迷惑かけてるの。」

『親、居ないんですね…。だからこの家も、寂しい…。』

「部屋には最低限必要なものしか置いてないでしょ?
親が最後に残してくれたもの、そのままの形で残したいって…
あの子はまだ親離れ出来てないの…」

はぁと溜息を吐いたお姉さん。
この家にそんな思いがあったなんて…


『私、なんて声かけたら良いか…』

涙を耐えながら俯いて下唇を噛み締めているとお姉さんの明るい笑い声が聞こえた

 
 
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