~親友という名の絆~
「…かお…る…?」
「……」
「薫!」
友の岬まで来たところで遥は私の手を振りほどいた。
「…さっきのニュース…って」
「…本当だよ…」
振り向かず私は答えた。
「…ウソだよ…何かの間違いじゃ…
だって、薫はここにいるじゃない…」
「…」
「…薫…」
「…自分で…言いたかったのにな……」
私は振り返る。
「遥、本当の事なんだ…
私は……死んでる……」
「何言って……」
「信じられないかもしれないけど、本当の事なんだよ。
私は昨日のバス事故で死んだ。
今ここにいる私は……」
「…ウソだよ!だって、薫は昨日も一緒にいて、今も私の前にいる!!」
「遥…」
「死んだなんて嘘なんでしょ!
嘘だって………!!?」
そこで遥の言葉は止まった。
私の腕を掴もうとした遥の手は、すり抜け私のお腹あたりで止められた。
同時に私が持っていたはずのスポーツバックと右に巻かれた包帯が地面に落ちた。
チリンとかばんに付けていた鈴も外れ音をたてて転がる。
そしてカバンも包帯もまるでそこには無かったかのように消えていった。