~親友という名の絆~
奈津の目からは涙が溢れそうになっていた。


「どうして言ってくれなかったの?
転校するってこと。」

「奈津、幸はな…」

「私は翔に訊いたんじゃないの。
幸に訊いたの。
黙っててよ。」

奈津は間に入ってきた翔を押しのけた。

「幸、何か言ってよ!」

でも私は何も言えなかった。


沈黙が続いた。


私も泣きそうになってくる。



何で何も言えないの?
どうして…




「どうして何も言ってくれないの?
……そっか……幸の中では私はただの友達なんだ……
私は…ずっと親友だと思ってたのに……
……もう幸なんて知らない……
幸のバカ!」

奈津はそう言って丘を降りていった。


「奈津!」


私は追いかけようとしたけど途中石に躓いて転けた。



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