~親友という名の絆~
『それでね…』

「ねぇ…薫、訊いていい?6年前の事故だけど…」

話を続けていた薫の言葉を切り、私は訊いた


『あぁ、そっか…。幸には言っとかなきゃね。』

薫は一息ついてまた教えてくれた。



『私は1ヶ月前に死んだ。
けどね、ホントはその前に一度死んでたらしいの…それが6年前のトラックの事故。』


俯き、組んだ膝の上の手を握り締めて淡々と話し続ける

その薫の姿は『死んだ』なんて冗談言ってるようではない




私はその間何も言えなかった



『その時は、まだ死にたくないって思ってたし、遥との…約束守りたいって思ってて…死んだ後、離れた魂が戻ってきたみたい。
それで1ヶ月前の事故で私は死んで、みんなの私に関するの6年分の記憶は消えた…
遥と幸以外はね…』


「遥ちゃんと私以外?」

『うん。幸とは今こうして話してて、今の…中3の私の存在を認識してるから、消えた記憶が戻ってきたんだよ。
遥は…分かんない。』


そう言って微笑んだ薫は複雑そう


6年の間でもみんなの記憶から消えるって悲しい事だって思う



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