~親友という名の絆~

夢を見ていた。



夢の中で私は、グレーの世界にいた。




ー ここ…何処…?

そう思っていると、何処からか声がした。


「逃げろ!はやくっっ!!逃げろっ!」

その声は段々大きくなっていく。

いつか聞いたことのある声。

私の横を流れるように、走って逃げていく人々。

誰かの叫び声。

そして何かがぶつかる音。



振り返ると大型トラックが、轟音とともにこちらに向かって来ている。

街灯や道路標識にぶつかったのだろうか、フロントガラスは割れ、いたるところがへこんでいた。

反射的に運転席を見る。


ドライバーは頭から血を流し、ハンドルを握ったままガクリとうなだれている。







逃げようとした。








しかし、私の足は一分として動かない。

なんとかして動かそうとしたが、全くダメだ。

顔を上げると、トラックの正面が目の前にーーーー




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