~親友という名の絆~
「お父さん、ただいま。」

戸を開けると、かまどの側に父はいた。


うっすらと額に汗を浮かばせ、何やら鍋をかき混ぜていた。


「あぁ、涼か。お帰り。」


「水汲んで来たよ。」


「そうかい、ありがとう。」


やんわりとした笑顔で答える父に、何か他に手伝うことはあるかと尋ねると、「いや、良いよ」と戻ってきた。



涼の母親はもうイナイ


数年前にやはり流行病で死んでしまった。

それからずっと父親と姉、そして涼の3人でこの神社を切り盛りしてきた。

昨年、理恵は同じ年頃の遠矢と結婚し、更に来年にはまた家族が増える予定だ。


「そう、なら庭の掃除して来る。」


水を瓶に移すと、涼はそう言って外に出て行った。


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