~親友という名の絆~
「人ってさ、本当に心を許せてない他人と居るときは、無意識に自分を抑えてしまうの。
本当の自分を出せるのは、大切な人、一緒に居て安心できる人。
コレはあくまで私の憶測だけど…
あなた達2人はそうなのかもしれないわ。」


夕焼け色の風が2人の間を吹き抜け、髪をそよがせていった。


乱れた長い髪を耳に掛け直し、理恵は続けた。


「ねぇ涼、友だちって2人が互いに『友だち』と認識してなければ、友だちではないってコトになってしまうの?
翔くんの場合、友だちが居るっていう感覚が分からないだけじゃないかしら?」


(そう…なのかな…?)


「そうよ。きっとね。せっかく生きているんですもの。前向きに考えなきゃ。


心の声に答えるように返すと、理恵はまたやんわりと微笑み掛けた。


何時も笑顔の絶えない姉


この笑顔が崩れてしまうコトがあるのだろうか


時折、頭にそれが浮かんでくる。



< 190 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop