~親友という名の絆~
「雨、止まねぇな。」

翔が口を開いた。

「そうだね。」

「この村にとっては災難続きだな。冬が終わって雨が降らず、水不足。」

「やっと雨が降ったら、今度は長雨で洪水の危機。」

深い溜め息が重なった。

「父さんも村長さんも頭抱えてた。さっきまで神社に集まってたの。」

「何か決まったことあったのか?」

「…特には何も。」

「そうか。」


金色の翔の瞳は一度涼の姿を移した後、また横へとずらされた。


何となく2人の間に流れる僅かに重い空気。


それを知ってか知らずか、涼はずっと見つめていた炎から天井へと目を移した。


「ねぇ、あの窓開けないの?」


家の高い位置にある四角い部分を指差した。


格子状の枠に外から板を被せた木の窓だ。



「嫌だから。
開けても雨空しか見えねぇしな…それに開けなくても不便は無いし。
…何笑ってんだ。」


窓から涼に目を向けると、彼女はクスクスと笑っていた。


「いや、君らしいって思ってさ。昔っから雨嫌いだったしね。まぁ、僕もだけど。」

「大嫌いだし、嫌な予感もする……ったく、早く上がれっての。」



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