~親友という名の絆~
鬱蒼と茂る林の中をひたすら歩いていく。


傘を被り簑を纏った人々

儀を行う湖へ向かう集団

村長と神主と数人の男たち


そして、白装束の少女


獣道に近い滅多に使われない道を抜け辿り着いた場所は、広い湖の端に飛び出た崖の一角


小さな祠と鳥居以外は特に何も無い。


その小さな祠に手早くお供え物を置くと村長はその前で手を合わせた。


他の男たちもそれに習う

神主は村長の横に立ち、采配を左右に降り始めた。



「山の神よ、天の神よ。どうか我らの願い、叶えて下さいませ。」


どうかお聞き届け下さい

ひと月も降り続くこの雨を

犠牲者が出る前に

湖が溢れてしまう前に


数多の神よ


この雨を止めて下さい





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