~親友という名の絆~
その寸前
何かの力によって彼女は後ろへ引き戻された。
「バカ涼」
そして聞こえてきたのはあの聞き慣れた声
「しょ…う…?」
傘も被らず、簑も着けず頭の先からぐっしょりと濡れた翔が見上げた先にいた。
「な…んで…?どうしてここに居るの?」
「何故って…俺だってあの村の人間だ。これだけの長雨になれば、神社の娘が人柱にされる位知ってる。」
「…」
瞳が揺れる
言いようもない震えが湧き上がる。
「それに昨日のお前、どう考えてもおかしかったからな。
気になって来てみれば……予感…当たってやがる…」
俯いた横顔が更に険しくなる。
「翔…」