~親友という名の絆~

「翔、お前何しに来た。」

2人の傍らに来た男が問う。

「そんなの決まってる。俺はコイツを止めに来た」

翔の鋭い瞳が男に向けられる。

「僕を止めに来たって…」

一度顔を背け、また翔を見上げた。

「…無理だよ。」

「涼も了承済みの事、この子の意志だ。」



「そうだよ。コレは僕の意志…」

「五月蝿い」


涼の言葉を低い声が遮る


「怖くて泣いてるくせにグダグダ五月蝿ぇよ。」

「何言ってるの?僕は泣いてなんか…」



彼女の頬を雨粒ではない暖かい雫が伝った。

(僕…泣いてるの?僕は…僕は……)


片頬を手で覆い、地に視線は下ろされた。


「人は誰だって死ぬのは怖い。心から死にたいだなんて思ってる奴なんかいない。」

肩にそっと置かれた翔の手

「誰かの為だと言ってても、心のどこかで生きたいと思ってる。
その涙が証だ。」

< 212 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop