~親友という名の絆~
「翔、お前何しに来た。」
2人の傍らに来た男が問う。
「そんなの決まってる。俺はコイツを止めに来た」
翔の鋭い瞳が男に向けられる。
「僕を止めに来たって…」
一度顔を背け、また翔を見上げた。
「…無理だよ。」
「涼も了承済みの事、この子の意志だ。」
「そうだよ。コレは僕の意志…」
「五月蝿い」
涼の言葉を低い声が遮る
「怖くて泣いてるくせにグダグダ五月蝿ぇよ。」
「何言ってるの?僕は泣いてなんか…」
彼女の頬を雨粒ではない暖かい雫が伝った。
(僕…泣いてるの?僕は…僕は……)
片頬を手で覆い、地に視線は下ろされた。
「人は誰だって死ぬのは怖い。心から死にたいだなんて思ってる奴なんかいない。」
肩にそっと置かれた翔の手
「誰かの為だと言ってても、心のどこかで生きたいと思ってる。
その涙が証だ。」