~親友という名の絆~
「戯れ言ばかり言うな!今はそんな事関係無い。これはあの村を救うため必要なんだ。」

「五月蝿ぇ、黙ってろ。」

「黙るのは翔の方だよ。」

俯いたまま涼は翔の着物の端を掴んだ。


「トウジさんの言ったとおりだよ。僕の命を捧げるだけであの村を救うことが出来るの。
14年前の水難の時も翔のおじさんが人柱になったから大惨事にならなかったんでしょ?
村は無事だった。だからおじさんみたいに、僕は…やるの。」

「アイツみたいになんか……
村長、俺は聞いたよ。14年前の事。

親父が来てから続いた長雨は異国人を入れた天罰と考えられた。こうなったのはお前のせいと罵られる事もあった。母さんと俺に否が行かないように、人柱に名乗りを上げた。後ろ指指されながらな。
そして儀式が終わっても何も変わりはしなかった。雨が上がったのは数日後。
誰から見ても人柱何てことしなくても数日経てば雨が上がることは必然的だったと言うことが分かった筈だ。」

「それって…」


「人柱なんて…誰かが犠牲になる必要はないってコトだ。」


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