~親友という名の絆~
しとしと雨が降る中に涼は居た。
あの白くなってしまった髪は如何したのだろうか
「どこ…しょ…はどこにいるの…?」
僅かに開いた唇から漏れる声
伸びた前髪の間から覗く瞳は虚ろ
雨具も着けず、ただ彷徨う
まるで誰かを捜し求めているように
「ねぇ…返事して…よ…あんなの、ウソ…だよ…ね…?」
潤んだ瞳で曇天の空に問いかける。
「涼!!」
1人の男性が彼女の肩を掴んだ。
「あぁ、義兄さん…ど…しよう、翔、イナイ…
家も、田んぼにも、畑にも…」
「涼、何処探したって見つかる筈無い。」
「……」
「だから帰ろう。」
涼の正面に回り込み、両肩に手を置いた。
「翔は…逝ってしまった…でも、コレは受け入れなければならない。なぁ…涼…」
遠矢の言葉が終わると共に、涼は彼を振り払い掛けていってしまった。