~親友という名の絆~
『違っ…』


異なる空間に居る少年の声は到底届くはずがない




「もう一度、あの娘で儀を行え!」

「逃げぬ様、縄で縛り上げろ!」


雨の中、家から飛び出した人たちは涼の行く先を阻んだ。


そして彼らは彼女を拘束すると、また山の湖へと登っていった。




『やめろ!!』


どんなに声を張り上げようとも、地上のヒトに届くことは無い




村人たちは進んでいく

絶望の淵にいる少女を連れて



湖に辿り着くと、涼はまた崖の上に立たされた。

その瞳には、恐怖も悲しみも何の感情も映ってはいなかった。


後ろには村長や神主の代わりに祈る声

救済を求む声

必死に願う声




そして、涼は崖から墜ちて…落とされた


しぶきを上げ着水した彼女は、波に揉まれ姿は消えた。


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