~親友という名の絆~
「ユルサネェ」


ゆらりと立ち上がり、脚を据えたのは湖の水面


「ウワアアアアアアァァ!!」


負の感情が、力が解放される。


少年の叫びは風となり、吹き荒れる。


そしてそれは、水を揺るがし幾つもの波を生み出し濁流となった。


『行ケ…』


濁流が村に押し寄せる。


『コノママ、呑ミ込ンデシマヘ…』


村人の悲鳴ももはや彼の耳には届かない。


『…田モ畑モ、家モ…人モ…、
全テ、消シテシマエ……消シテシマエ……』










「やめて」


少女の声が聞こえた。


でも、彼女はココに居るはずはない。


「やめて、翔。」


暖かい温もりが今背中に


「お願い、翔。
そんな事しても何もならない…」


風の動きが止まった。


「涼……お…れは…」


一つの雫が頬を伝っていった。








『涼、翔。此方へおいで』

何処からか声がした。


と、同時に2人は光に包まれていた。









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