~親友という名の絆~
「だからやれと?」

持ち前の眼光を向ける。


『そうとも言えますね。ですが、コレについて貴方たちには拒否権は有りません。』


そんな翔に動じる様子はない。




「なぁ、セピアって言ったっけ?お前さっきから『貴方たち』って言ってるが何故だ?罰則は俺だけだろう?」


『いいえ、違います。あの洪水を起こしたのは貴方の力だけではありません。』


セピアはスッと身を引いた。


「…ボクも……僕も翔と同じコト考えた……こんな憎い村なんて消えてしまえって……
翔を殺したアノ人も赦せなかったし、こんなコトにしてしまった自分も赦せなかった。」


声が心無しか震えている気がする。

こんな彼女は見たこと無い。



「僕ね…翔が居なくなって実感したよ。遺された者の悲しみと絶望感。
そして、思ったんだ。
何時かまた天災が起きれば誰かが犠牲になる。また、僕たちみたいな人が出てきてしまうかもしれない……
だから、こんな掟がある村…消えた方がいいんだって…」

「りょ……」


涼は翔に歩み寄り、彼の伸ばし欠けた腕を握った。


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