~親友という名の絆~
新田先生は私の代わりに香奈を出した。

「診てもらった方が良いかもね…」

氷で手を冷やしながら先生が呟く。

「恵、悪いけど薫をロッカールームまで連れて行って医務の人呼んでくれない?
私は離れるわけには行かないから。
場所は薫に聞いて。」

「はい。」

恵はそう答えて「行きましょう」と言った。


そして私は体育館を出て行った。







途中、綾姉と石井先輩が来てくれた。

「大丈夫?」

「…」

石井先輩に訊かれて私は何も答えられなかった。



去年と同じパターン




先輩の後ろでは綾姉が備え付けの電話で医務局に連絡をとってる。

でも誰もでない。


「でない。他に出払ってるのかしら。
どうする?」


「一応、湿布を貼って様子を見ましょう。
恵、救急箱ある。」

「はい。」

先輩は私の隣に座り恵から受け取った救急箱を開けた。

「薫、手出して。」

私は言われたとおりに手を差し出した。


手に湿布が貼られる。

「あんまり動かさないようにね。」


先輩は床を見詰めたままの私の顔を覗き込んだ。


< 87 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop