泣けない私
 旅行会社をでてすぐに家に電話をし、今から電車で行くから駅まで来るようにと、弟に伝えた。

 
 そして母にも電話をし、四時には祖母の家に着く事を伝えた。


 
 祖母の家には予定通り、三時半には着く事ができた。
 
 
 途中新宿では弟が、荷物が人混みに流されはぐれたり、

 空港では預けた荷物の中におにぎりを入れたままにしてしまい、空港で食べることが出来なかったり、

 青森空港から、祖母の家に行くのに使ったタクシーの運転手も私達も祖母の家までの道がわからず、

 運転手が地図を見ながら、どうにか祖母の家の近くまで着くなど、

 色々なハプニングがあった。


 
 祖母の家に着くと、伯父は体を綺麗にしてもらうのを終え、生前大切にしていたものなどを棺の中に収めているところだった。


 あちらこちらから
  「おしゃれな人だったから、スーツを入れてあげな。」とか


  「タバコは入れた?」など声が飛んでいた。


 その後、伯父の周りにみんな集まり、伯父の顔をゆっくり見た。


 その時、声を殺して泣く声が、いくつか聞こえた。
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