もしも素直になれたなら

#2

『おっはよー李華!瀧!』

ギリギリセーフで学校につき親友の李華と友達で李華の彼氏の瀧に朝の挨拶

『おはよう魅紗♪』可愛いニッコリ笑顔で答えてくれた李華。
『おっす!綾部・・・・と梓。』
いつもどうり明るく挨拶を返してくれた瀧の目線の先を見ると・・・・。

『ハァハァ・・・・。魅紗・・・・お前学校つくなり荷物持たず教室にダッシュしてくってどういう神経してんだよ!!!』

学校まで死ぬ気で自転車をこいできてくれたのに感謝もせず荷物も持たずダッシュした私は反省もせずアズから荷物を奪い『ご苦労!』と言い席へ着く。


『ご苦労!じゃねぇよ!ボケ!』
私に罵声を浴びせると同時に頭を強めに叩かれる。

『いだっ!うぅ・・・・。』
私は叩かれた場所を押さえアズを睨む。
『もー!魅紗もあっくんもやめな!
先生ももう来るよ!?』

李華に怒られ大人しく席に着くアズ。

(何よ!李華の言うことはすぐ聞いちゃって!)

私がそんな事を思いつつムスッとしていると

『プッ!』

横で笑い声。
そして優しく私の頭を撫でる大きく暖かい手。

『まだ頭痛むか?強く叩きすぎたな。』
横を向くと見慣れた奴の優しい笑顔と優しい言葉。

昔からそう。
どんな大きなケンカしても先に謝るのはアズ。
私のだいすきな優しい笑顔で見つめて、私のだいすきな暖かい手で頭を撫でる。それがお決まりのアズの謝りかた。

そんな優しいアズに幼い私の心はわしづかみにされた。

(だいすき・・・・。アズ。)



『それにしても素直じゃないよねぇ魅紗は。』
お昼休み教室の窓から外でサッカーをしている瀧を楽しそうに見ながら李華は言った。

『え?』

『あっくんだいすきなくせにさぁ。
あっくんモテるんだから早く告んなきゃ誰かにとられちゃうよ?たとえば浦澤さんとかに。』

『はっ!?浦澤さんて3年の水口先輩と付き合ってんじゃん!』

浦澤 愛理菜(ウラサワ エリナ)隣のクラスでリーダー的存在のお嬢様。凄く整った顔をしているけど性格が悪い。


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