もしも素直になれたなら
嫌だった。


泣きたかった。


『やめてよ!』と叫びたかった。


逃げてしまいたかった。


『・・・っっ!魅紗!』


アズに呼ばれ肩がビクリと上がる。


何も言えない私に女の子がこちらを向く。


『あっ!綾部先輩!ごめんなさいこんな姿見せちゃって・・・。』


女の子の可愛い顔が申し訳なさそうに歪む。


状況が掴めなすぎてなにも言えない。


本当は
『アズから離れろっ!』と言いたかったけどあいにく私はアズの彼女じゃない。

『綾部先輩。私1年の田宮 幸嘉(タミヤ ユカ)です。さっき倉内先輩に告白されて付き合う事になりました。』


綺麗な黒髪が窓から入ってきた風に揺れる。


世界が壊れてしまえばいいと初めて思った。


声に鳴らない叫びをあげ泣きじゃくりながら走った。


『うっ・・・。ふぇっ。う゛ぅ。』


自分の部屋にこもり声を殺し泣く。


私はこれからどうすればいいのかな・・・。
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