もしも素直になれたなら
-回想-


私とアズは幼なじみ。


実は私達にはもう1人幼なじみがいる。

英 理良(ハナブサ リオ)

私達より2つ年上で私の家の向かいのお兄ちゃん。

小さい頃は私やアズとよく一緒に遊んでくれた。


大人っぽくて頭がいいりぃちゃんが憧れだった。


『りぃちゃん!魅紗ね、おっきくなったらりぃちゃんのお嫁さんなるっっ!』


『本当?俺もみぃをお嫁さんにしたいな・・・。』


幼い頃交わされた約束。


次の日りぃちゃんはいなかった・・・。

『う゛ぅ・・・。なんで・・・。りぃちゃんの嘘つきぃ!』

私の家のポストには
(ごめんね、みぃ。梓。俺は20歳になるまでここには帰ってこない。2人の事は心配だけど、しょうがないんだ。
PS.みぃ俺が20歳になったら迎えに行く。)


そう書かれた手紙が入っていた。


『・・・っっ!りぃちゃん!今までどこいたのっ!?


さっき散々泣き腫らしたはずなのにまた涙が頬を伝う。


『ごめん。ごめんねみぃ。俺みぃ達と離れて親父の会社で社会勉強しながら高校行って今は親父の会社の副社長やってる。』


『なんで何も言わないで行っちゃったの!?私もアズも心配したんだよ・・・?』


まだいっぱいいっぱい文句を言ってやりたかった。


でも言えなかった。

りぃちゃんに抱きすくめられ


深く深くキスをされたから・・・。


長く感じたキスを終えりぃちゃんが私の耳に唇を寄せる。


『みぃ・・・。迎えにきたんだ・・・。』


頬についた涙を拭われる。


『りぃちゃん・・・・もう遅いよ・・・・。』


私にはそれしか言えなかった。


『・・・みぃ。』


私はずるい。


言葉では拒んだくせに


強く抱きしめられた腕を拒まなかったんだ・・・・。
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