もしも素直になれたなら
#6
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『魅紗・・・。
おはよう・・・。』
遠慮がちに聞こえる声。
『ん・・ア・・ズ?』
時計が指す時間はAM6時34分。
なんでこんな時間にアズが・・・。
ぼーっとする頭で考える。
『・・・・。魅紗昨日はごめん・・・。』
その言葉に無償に腹がたった。
『っっ!別にあんたは謝るような事してないけど!』
強い口調でせめる。
『・・・うん。ごめん・・・。』
イライラする。どうしようもなく。
『だからっ!謝んなって言ってんだよ!』
叫びながら枕もとにあった時計を投げる。
シュッ!ドンッッ!
『・・・っっ!』
勢いよく投げた時計はアズの頬をかすめ少しの切り傷を残す。
いっそその痕が一生消えず私から離れられなくなってしまえばいいのに・・・。
私は醜い。
『着替えるから出てって・・・。』
冷たく言い放つ。
パジャマのボタンをゆっくりとっていく。
『魅紗・・・。その痕なに・・・。』
後ろに向き変えるとアズが呆然とした顔をしていた。
『は?』
痕・・・?
首なんかに傷を負った覚えはない。
『・・・っっ!魅紗っ!答えろ!
その首の痕はなんだよ!』
いきなりベッドに押し倒され叫ばれる。
『は?!意味分かんないし!首に傷なんて・・・!』
もしかして違う?
アズのいう痕って・・・。
『魅紗・・・。俺が一番見たくない傷痕は誰のせいなんだよ・・・。』
泣き出しそうなアズを見上げ自分の首に咲く紅い傷痕をなぞる。
その瞬間私の頭は悪に支配された・・・。
『あぁ・・・。痕ってキスマークか・・・。
これね?りぃちゃんにつけてもらったの・・・。
私、りぃちゃんと付き合う事にしたの・・・。』
あんなに悲しい嘘でアズを繋ぎ止めようとする自分に酷く吐き気がした・・・。