夜桜
大きなキーホルダーがたくさんついたスクバを、自転車のかごに入れる。
勢い良くペダルをこいで、走りだした。
あたしの高校はここから結構遠い。
自転車でとばして30分、とばさないと45分くらい。
「やーばーい!!早くしなきゃ…」
あと10分くらいの所で、いつもの場所が目に入る。
「桜丘神社」と書かれた、古びた鳥居。
ここはあたしの、大切な大切な思い出の場所。
優との忘れられない場所。
そう、昨日の夜も行ったあの神社。
だから、遠くてもその高校がいいと思ったんだ。
それに、その高校には桜がたくさん咲いているから。
桜は…優が大好きだった。
いなくなってしまった今でも、あたしの心の中は優で占められているんだよ…。