夜桜
「あっ!華恋、やばいよ…」
麻美は急に小声にして言ってきた。
「え?」
「美乃(みのん)ちゃん!今睨んでたよ…」
「えぇっ!?なんで!?」
あたし、なんかしたっけ!?
「もー!蒼くんでしょ!!好きなんだよ…こっわ…」
美乃ちゃんを見てみると、確かにこっちを見ていた。
「気を付けなよっ!?蒼くんモテるから」
クラスにもいるんだ…。
なにが「可愛いって言ってた」だよ…。
蒼の方がすごいんじゃん!!
美乃ちゃんの視線を横目に感じながら席に戻った。
あたし…すごい人と知り合いになっちゃったな…。
美乃ちゃんは敵に回したくない…と思いながらも、
あたしの頭の中ではさっきの蒼との会話が何度も繰り返されていた。