心 の 隙 間
『……あのさ。』
やっと口を開いた先輩。
『さっきの返事…聞かしてくんないかな?』
先輩は、いつもより少し低い声。
………どうしよう。
先輩の顔をチラッと見る。
真剣な顔であたしを見つめる先輩。
宏人としていたように、ハル先輩と抱き合ったり、キスしたりする自分を想像してみた。
……あたしは、スカートの裾をぎゅっと握り、話し始めた。
「…えっと、あたしもいきなりだったからびっくりして」
『……うん。』
あたしの話に相づちをうつハル先輩。
「先輩みたいなかっこいい人が、あたしなんかを好きになるなんて信じられなくて…」
『うん。』
「先輩はすごくいい人だし、一緒にいて楽しいし、ハル先輩の彼女になれたら、すごく幸せになれると思う…。」
あたしはもう一度強くスカートの裾を握った。
「……でも、気持ちは嬉しいんですけど、まだ誰かと付き合うこととか考えてなくて…」
ハル先輩と付き合う自分の姿。
想像することが出来なかった。
「ごめんなさい…。」
あたしは先輩に頭を下げた。