赤い糸はだあれ?−あたしと五人の王子様−
「ああん?
鹿波、今なんつった?」
「だから、気持ち悪くて、とても女としてなんか見れねぇって言ったんだよ。」
「ちょ、二人共っ。」
「キョロ介、こんなバカをかまってやんなくていいんだぞ?」
カッチーン。
は?バカだ?
てめーに言われたくねぇんだよ!
あたしは転がってたボールを拾い上げ、翔ちゃんに投げ付けた。
「いってえぇぇ!」
大声を上げた翔ちゃんは、頭を押さえながら振り返り、ギロッと睨みつけた。
「お前なぁ、いい度胸してんじゃねーか。」
「ん? やるか?」
二人してボクシングの体勢をとると、さすがにまずいと思ったのか、
キョロ介が入って来た。
「ちょ、待った!
落ち着いて、二人共!!」
テンパった様子のキョロ介に、あたし達は顔を見合わせる。
「ぶっ、アハハハハ!」
腹を抱えて笑うあたし。
キョロ介は更に戸惑っていた。
「大丈夫だよ、キョロ介。」
「えっ。え?」
「俺ら、本気の喧嘩はしないから。」
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