赤い糸はだあれ?−あたしと五人の王子様−




「・・・ん? え??」

そんな挙動不審な行動のキョロ介は、わかりませんと顔に書いてあるようで面白い。



「あたしらね、口喧嘩はしょっちゅうなんだけど、
本気のケンカは一度もしたことないの。」


「なんでだろーな、このバカ見てると怒る気も失せるんだろうな。」


「その言葉、そっくり返すけど。」



お互いに睨み合っていると、クスクスと笑い声が聞こえた。


「変な人達だなー。」



片手の甲を口に当て、嬉しそうに笑ってる。






「・・・あ。」

「ん?」

翔ちゃんの声で、キョロ介はこっちを見た。



「久々に見た。
キョロ介の笑った顔。」



無言であたしも頷く。


外からは笑い声が聞こえ始め、ホームルームの時間が近づいてきてるのがわかった。




「あー。
最近、悔しい思いすることが多かったからかな。」




「そっか。」

よかった。

表情がやわらかくなったキョロ介にホッとする。






「今日はありがとな、教えてくれて。」



いつもより優しい顔であたしの方を向く。

なんだかあたしも嬉しくなってきた。



「いーえっ。
また練習しよ!」


そういうと、キョロ介は嬉しそうに笑ったんだ。





< 26 / 97 >

この作品をシェア

pagetop