赤い糸はだあれ?−あたしと五人の王子様−
「・・・ん? え??」
そんな挙動不審な行動のキョロ介は、わかりませんと顔に書いてあるようで面白い。
「あたしらね、口喧嘩はしょっちゅうなんだけど、
本気のケンカは一度もしたことないの。」
「なんでだろーな、このバカ見てると怒る気も失せるんだろうな。」
「その言葉、そっくり返すけど。」
お互いに睨み合っていると、クスクスと笑い声が聞こえた。
「変な人達だなー。」
片手の甲を口に当て、嬉しそうに笑ってる。
「・・・あ。」
「ん?」
翔ちゃんの声で、キョロ介はこっちを見た。
「久々に見た。
キョロ介の笑った顔。」
無言であたしも頷く。
外からは笑い声が聞こえ始め、ホームルームの時間が近づいてきてるのがわかった。
「あー。
最近、悔しい思いすることが多かったからかな。」
「そっか。」
よかった。
表情がやわらかくなったキョロ介にホッとする。
「今日はありがとな、教えてくれて。」
いつもより優しい顔であたしの方を向く。
なんだかあたしも嬉しくなってきた。
「いーえっ。
また練習しよ!」
そういうと、キョロ介は嬉しそうに笑ったんだ。
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