赤い糸はだあれ?−あたしと五人の王子様−



「あ、ちょっと部活に遅れるって伝えといてもらえる?」

「あ、はい。」



私の返事にクルッと振り返ったその会長は、尋常じゃないくらい睨み付けたかと思うと、勝ち誇ったような笑みをこぼして元の向きに戻った。


くうぅぅぅーーー!

ムカつく!!


お前のもんじゃねぇんだっつーの!




なんて、チキンなあたしは、心の中で叫んでみる。


怒りのオーラを目にも止めず、むしろ嬉しそうに、クソ会長は俊先輩に話しかけた。




「わぁっ!
じゃあ、部室に行ってくれるんですねっ?」

「いや、資料コピーしたいんでしょ?」



うわ、卑怯な。

仕事だって言われたら断れるわけないじゃん!

無理やり部室になんて・・・

あたしが許すかぁっ!



「じゃーね、マネージャーさん。」


見下したように笑って俊先輩を連れて出ていったドアに、委員会の資料を投げつけた。



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