赤い糸はだあれ?−あたしと五人の王子様−
「試合始めるよ。」
「はいっ!」
俊先輩の声で、皆の顔が引き締まる。
誰もファンクラブの人たちを責めないところがいい。
「じゃあ、得点板と審判をはるちゃん、よろしく。」
げっ、今日あたしっすか?!
いや、皆の・・・てか俊先輩の姿間近で見れるのは嬉しいし、俊先輩がはるちゃんって呼んでくれたのも、やばいんだけど。
練習に1年生を審判にさせないのは今日が初めて。
初めて、女子で呼ばれた。
女バスも、練習はするんだけど。
マネージャーは今の時間、マネの仕事を優先させてるから。
・・・で、なんで嫌かって言うと。
「うぜぇ。」
「なに得意気になってんの、あの子。」
「可愛い子ぶってんじゃねぇし。」
ほら、きた。
小さく低い声で呟くファンクラブの子達。
聞こえてるっつーの。
だから、『女って怖い』なんて言われるんだよ。
もうだいぶ諦めてるあたしは、得点板を取りに行く。
補助には龍ちゃん呼んで手伝ってもらおうかな。
なんて考えてると、誰かが前へ進んだ。
「人の悪口言ってどうすんだよ。」
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