赤い糸はだあれ?−あたしと五人の王子様−
前ちゃんは皆が練習に戻ったのを確認すると、ゆっくりと話し出した。
相手チームがリードしていた時、翔ちゃんは点差が開いていくのを見て焦っていたらしい。
そこへ、一年生の一人が翔ちゃんのボールを取ろうと走ってきた。
でも、それは翔ちゃんの後ろからで。
死角に一年生がいたため、翔ちゃんは気づかないで勢いよく振り返り、走り出そうとした。
先生が笛を吹いてなければ、あと少しで正面衝突だったみたい。
「こういう事は、よくあるだろ?
実際に試合中に起こって選手がぶっ倒れたこともあったらしいしな。
だけどあいつは、というよりレギュラーやってる奴らは、すぐに気づくんだが。
珍しく焦ってたからな。
でも、試合では俺が笛吹くわけにもいかないだろ。
だから頭を冷やしに行かせたんだ。」
信頼してるからこその注意だとわかってほっとした。
だって、一人いなくなったらファイブじゃないもんね。
一安心したあたしは、女バスに混ざって練習し始めた。
少しずつ、動き出してることに気づかないで。
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