赤い糸はだあれ?−あたしと五人の王子様−
・・・っと?
なんだ、こりゃ?
出張のため、コーチの前ちゃんはおらず、部長が指導してる・・・はず。
なんで俊先輩がいないわけ?
ファンクラブの落ち着きのなさと、男バス・女バスのイラつきを見てるとマズイことはあたしでもわかる。
あれ?
さとちゃんがいない・・・。
・・・・・・まさか。
「絵梨!」
「あ、追試お疲れ様〜。」
「そう、最悪でさぁ・・・
じゃなくて!
さとちゃん、もしかして」
「うん、部長連れて出てったよ。
お陰で練習ストップ。」
そう話したとき、バスケットボールの音が響いた。
「おし!
まずはフリースロー練習!
そのあとドリブルシュートやって試合な!!」
「はい!」
男バス・女バスともに練習をし始めた。
「お、さすが副キャプテン。
哲先輩、やるねぇ。」
そうだね、なんて言いたいけど。
ドキドキしてた。
さとちゃんどうしたんだろ。
俊先輩を呼び出すだなんて。
二人で話してる姿、あんまり見たことないのに。
体育館から、いっこうに開かないドアを見つめた。
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