赤い糸はだあれ?−あたしと五人の王子様−
「・・・なんでだろ。」
お風呂場に自分の声が響く。
別に言い合うつもりなんか全然ないのに。
なんでか、こーなる。
「・・・なんでだろ。」
もう一度言ってみたけど、わかるわけがなくて。
ただあたしの声が響くだけだった。
ーーーーーーーーーガチャ。
「あー、やっとかよ。」
声がする方を見れば、スマホをベットのほうに投げてこっちを睨まれた。
は?・・・なに?
「珍しく長風呂なんかしてんじゃねーよ。」
「はぁ? 何なん?」
頭をガシガシ拭きながら睨み返せば、ため息をついて座りなおる翔ちゃん。
「なんかあったんだろ。」
「・・・へ。」
「今日は何だ。」
・・・え、バレてたんすか。
「翔ちゃん、すげー。」
「・・・お前、いい加減『ちゃん』つけんのやめろや。」
ギロリと、さらにキツく睨まれる。
うーわ、ドス黒ー。
こわいっつーの。
「じつはー、」
「・・・シカトか、おい。」
「哲先輩にコクられましてー。」
「・・・は?」
.