赤い糸はだあれ?−あたしと五人の王子様−



あたしの思ったことを読み取ったみたいに、前ちゃんは強い口調で断言した。




「次の練習試合は捨てろ。」




「・・・えっ!?」



その声が自分が言ったんだと気づくのに、しばらくかかった。




皆の視線が集まって、



・・・うぅ、恥ずかしいっつーのっ。



それからまた前ちゃんを見つめる。





「いいか、お前らがパス時に名前を呼ぶ癖を取るには、次の試合は早すぎる。
だが、今からやらなければ全国大会で勝ち残れない。」





・・・あぁ、そういうことか。


いつもこういう話で置いてかれるけど、前ちゃんと話したからかな。

よくわかった。





ちらっと、男バスを見る。



動揺してほとんどの人がソワソワしてる中、

ファイブプリンスは違かった。



龍ちゃんは顔色が変わってなくて。

キョロ介は・・・眠そう。

哲先輩はもの凄く怒ってる顔で。

翔ちゃんは難しい顔でなんか考えこんでて。

俊先輩は・・・




え?









・・・笑ってる?









「ちょっとストップ!」




そう怒鳴るように声を上げたのは、顔を赤くした哲先輩。





「次は捨てるって何!?」



あぁ、やっぱりそうだよな。


『捨てる』って言葉は、勝負をしないって言われてる気がする。



だから、そう言われたら・・・






「試合すんなってこと?」




うん、あたしも最初そう思った。





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