赤い糸はだあれ?−あたしと五人の王子様−
「厚めに切ってあんのに、ハチミツ控えめにしたろ。」
「え、だ、だって。
さとちゃんが甘めにするっていうから、じゃあ少ない方がバランスいいかなって思って・・・」
「でもまぁ、塩入れたのは合格だな。」
え゛、わかんの?
「わかるわ。
どーせ、塩分採らせようとか考えたんだろ。」
うぅ、当たってやがる。
そのまま、スポーツドリンクとタオルを取って行ってしまう翔ちゃん。
「あ、翔太くん、こっちのも良かったら・・・」
「や、もういんね。
甘いの嫌いだし。」
そう言って、自主練し始める。
なんとも、冷たいヤツ。
「何?皆、春ちゃんの食べないの?
じゃあ春ちゃん、これもらっていい?」
そう言ってあたしのタッパーを取ったのは、俊先輩で。
「えっ、でも酸っぱいですよ?」
「うん、いいの。
俺酸っぱいの好きだから。」
そう言ってサラッと持ってった先輩にまたキュンとしてしまった。
「あっ、俊先輩!
それ一つ下さいよ。」
そう言って駆け寄っていったのは、あたしたちの代わりに点数板を片付けてくれていた龍ちゃん。
「ん、すっぺ。
けどうまいっすね。」
そうニカッと笑う龍ちゃんの笑顔はあたしの落ち込んだ気持ちなんかあっというまに吹き飛ばしてくれた。
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