赤い糸はだあれ?−あたしと五人の王子様−
「ごちそうさまでした。」
そう呟いたのはキョロ介で。
小さい声だったはずなのに、なぜか響いてて。
ペコッとあたしたちにお辞儀したキョロ介に続いて、他の男バスメンバーも頭をさげた。
「「ごちそーさまでした!」」
「いいえー。
残りは冷蔵庫入れとくから、食べたくなったらどーぞ!」
ニコッと笑った絵梨に皆はまた喜ぶ。
「ごちそうさま。」
誰にも気づかれない小さな声で、そっとすれ違いに言われて。
食べてくれてたんだ・・・!
「うん!!」
思わず元気に答えてしまった。
「・・・春ちゃん。」
振り返ると、
「ごめん。」
まるで怒られちゃった犬みたいに落ち込んだ哲先輩が、
一言、それだけ言った。
「いーっすよ!
また、メロンパンでも奢ってください。」
イタズラっぽく笑ってみせると、
「おぉ!任せとけ!」
太陽みたいな笑顔になった。
やっぱり、嫌な気持ちにはならないなー。
キツいとは思ったんだけど、酸っぱいのは確かだし。
この真っ直ぐな感じが、やっぱり哲先輩らしいと思うから。
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