to Home!!


「じゃ、俺はちょっと店に戻るから。祐也来るまでゆっくりどうぞ」


金沢さんは笑いながら出ていった。





え?

金沢さん、出てくの!?



祐也さんが来たとき、恐ろしく気まずいじゃん!


あぁー…いやだぁ…。








若干うつになりながら、机に頭を伏せた。



泣いちゃったし、目は腫れてるし、「大丈夫?」とか聞かれること間違いなし!


まだ来ないで…











そして20分もしない内に部屋のドアが開いた。


ドキッ…とする間もなく、祐也さんが飛び込んでくる。



「未裕っ!!」


真っ先に祐也さんの両腕につつまれた。




えっ…





私は時間が止まったような感覚になり、声すら出なかった。











が…



祐也さんはそんな私に気づかず、腕を放し、怒鳴った。





「何やってんだよ!まだこの辺に慣れてねぇくせに、用事があるなんて嘘つくんじゃねぇ!!」








祐也さんのこんな声、初めて聞いた…







ビックリしすぎて自分の中の怒られた悲しさに気づかなかった。


私が黙ったままうつ向いた瞬間、またしっかりした腕に包まれる。




「心配すんだろ……」













かすれる声が耳元で聞こえた。




その時、鼻の奥がツンとした。




「う…ーっ……ごめ、なさい…」




祐也さんの肩に顔を埋めて泣いた。


泣いてしまった。













抱き締められたとき、祐也さんが身体で息をしてたから。


額に汗をかいていたから。


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