to Home!!
は?…って…
「え、だから…そのー…」
さっきまで弱気に見えてた榊が急に元に戻った。
…というより、ポカンとした顔つきになっている。
「…あー、はい。うん。分かった分かった。そうだよな、頑張ればいいよな!」
榊は早くここから立ち去りたい、と思ってるような焦り口調で言った。
「う、うん。がんばれ!」
「おお。………じ、じゃな!」
「えっ…?」
鞄を素早くとると、パッと片手を挙げて、榊は颯爽と教室から出ていった。
何…?
いいこと思い付いたから、それについての話は…?
…もしかしてさっきの話をするのが恥ずかしいから、適当な理由つけただけ?
まぁ、わかんなくもないけど…
上手くいくといーねぇ…
一人の帰り道、榊を思い出して笑いそうになりながら帰った。
「ただいまー、祐也さん」
恋してるらしい榊を応援しながら帰ってるうちに、無性に祐也さんに会いたくなって、少し早歩きで帰ってきてしまった。
家に着いたら着いたで、苦しさを味わうことになるんだけど。
「みひろ!お帰りなさーい」
リビングのドアから顔を出す祐也さん。
開いたドアからご飯のいい匂いがした。
きゅるるるるる…
「あ…」
お腹なっちゃった…。
「ふっ…今作ってる途中だからもうちょい待ってな?」
「はーい…」
恥ずかしい…。
リビングに行っても、しばらく祐也さんのクスクスと笑う声は絶えなかった。