to Home!!
「…直子……?」



呟いた祐也さんの声は直子さんの心を温め、私の心に鈍い痛みを与えた。


何か熱い思いがこもった、彼女の名前を呼ぶ声。





ここに居ちゃだめなんだ。

きっと今から祐也さんは、泣いてる直子さんを全力で癒すつもりだ。



直子さんが温まる分、私はズタズタに引き裂かれる。




そんな所に居たら

私、死んじゃうよ。









ただでさえ、知らない祐也さんの一面。


私の見たい祐也さんの大切な、一番大切なものを見る優しい目。



それが見たかったのは事実だけど、私がこれから見ることが出来るのは




私に向けられたものじゃない。





そう察知した瞬間、私の思考とは別に、体が動いた。







自分の危機を防ぐため


本能だ。




思考回路停止状態。













玄関で抱き合う2人に目を伏せて、横をすり抜け













「…!」













家を飛び出した。



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