to Home!!
8章
─…
「ただいま…」
あれから榊が頭から離れなくて、放心したまま家に着いた。
榊が私を…?
思い出を振り返るなかで、榊をそんな意識してなかったせいか、証拠みたいなものが掴めない。
でも祐也さんとの二人暮らしを何度も聞いてきたり、祐也さんともめたときだって
私を気づかって
私だけ特別扱いしてくれてた。
遊びに付き合えだのなんだの言って、私を笑わせてくれてた。
他にも私のために何かやってくれてたのかもしれない。
なのに私はなにもしてない。
「私なんかのどこがいいの…」
「おかえり、未裕」
「えっ、あ、ただいま」
前からやってきた祐也さんに慌てて切り替え、ニコッと笑った。
やっぱさっきの不機嫌だった祐也さんは嘘のよう。
ケロッとしていた。
「今の独り言…なんか…」
「いや!な、なな何でもないよ…!私、着替えてくるっ!!」
「……そ?」
首を傾げた祐也さん。
でも目はなんだか私を見透かしてそうで…
鋭いよ、祐也さん!
早歩きで横をすり抜け、部屋に入った。
「はぁ…」
1人になると思わずため息が漏れる。
私、榊にどう接すればいいの?
……。
祐也さんは…私をフった後も、いつも通りだし…。
私も、いつも通りにすればいいのかな…。
いや、でもそうすると、なかったことにした感じになっちゃうよね…
私だったら、せっかくした告白を無かったことになんてされたくない。