to Home!!
そう言いながら、次々と必要なものを選んでいく。
その様子を見ていた直子は突然クスクス笑いだした。
「…なーんか、柔らかくなっちゃって」
「何が?」
「んー…あえて言うなら、雰囲気とか。」
「は?俺はいつだってそんな感じですけど?」
「いやいや、違うから。私の時と全然違うわよ。」
「そうか…?」
そういう事は自分でもよく分からないもんだ。
まぁ、以前にも増してそうなってるってことは…
「…未裕ちゃんが原因?」
!?
思わず肩がびくついた。
「…」
端から見てもバレバレなのか、俺は…。
わざとらしいため息を付いたが、まんざらでもない。
「やっぱり、お互いこれでよかったんだよ。」
呟くように微笑んだ直子が言った。
今なら分かる気がする。
あの時…
─…
「直子?なおこーっ?」
高2の夏。
4人で遊びに来た夏祭り。
気づけば直子が迷子になっていて、俺たちは必死に探していた。
結構遠出してきてしまったから、置いて帰れない上に、人混みで電波もいまいち届かない。
走り回っていると、屋台で賑わう通路から外れた所で段階に座っている直子を見つけた。
俺は慌てて駆け寄り、直子をもう一度呼んだ。
すると、俺を見つけた直子は少し涙目で笑った。
その瞬間だった。
胸の鼓動が一拍、強く鳴った。
一瞬しか見えなかった顔。
だけど、いつもの男らしさ溢れる直子からは想像できないほど
女の顔だった。
その時から俺は直子を好きになった。
直子は靴擦れで歩くのがしんどかったらしい。