to Home!!
──…


「はい、これで大丈夫よ」

静かな事務室に響き渡る事務員のおばさんの声。



「ありがとうございます」



一通り書類を片付けた私。





ふぅ…

これでやっと帰れる。




さっき連れてきてくれた人は、「もう迷んなよ」って言って、事務室から出てったからなぁ。


多分帰ったよね。



「名前くらい聞いときゃよかったかな」




独り言をポソっと言いながら、事務室をゆらゆらと出た。



「いや、俺まだいるから」




!?!!




「うわっ!?び、ビックリ…」



…した。



事務室を出てすぐの所、腕を組んで壁にもたれ掛かっていた人。


そう、さっきの人だ。






「な、なんで?」


もう帰ったんじゃ…



「はぁ?お前待ってたに決まってんだろが」



はい?




キョトンとしたままの私を見て、少し不快な顔をする彼。



うわ、もしかして

怒った?




「ご、ごめんなさ」


「荷物重いだろうと思ったから!待ってたんだよ!礼ぐらい言え!」



「ぅあ!はいぃ!!ありがとうございますっ!!!」


フンッと鼻をならすとその人はまた私の荷物を持って歩き出した。


…あれ?

そういえば、この人…


自分の荷物持ってない?




「あのー…」


「榊新一(サカキシンイチ)」


またもや話そうとしたら、遮られた。







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