ツキハナ〜月の花束〜
急に、体がグニャリと歪む感覚におそわれた。

何!?と思っている間に、周りの風景が変わる。


以前、夢でみた、あの景色。


まるで、地獄のように燃え盛る屋敷。
その前に、茫然と立ち竦む女性。


―ああ、この女性は私だったのか…―

自然に、すうっと染み渡るみたいに頭の中にそう響いた。

壊れたように流れている涙。
信じられないものを見るように見開かれた瞳。

そんな女性…つまり、私の側に、いつの間にかやってきていた人。

「……カオ。」

どうやら、男の人みたい。けれど、やはり顔は見えない。

さっきの人と同じ人なのだろうか…。
それすら、分からない。


私は、その男の人を詰っている。
泣きながら…。

まるで、他人事のように可哀想と思う。


現実感がないようで、ぼんやりその光景を眺めていた。



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