ツキハナ〜月の花束〜
「…んっ…」

貪るように、カオの唇に深いキスを落とす。
逃げる舌を、逃がさず絡めとる。
その甘く柔らかな舌を、味わいながら、右手が背中を下っていく。

柔らかく撫でていると、ピクン、と身体が震えた。

―かわいい…―

口付けを解き、首筋に移動する。
わざとチュッと音をたてると、耳まで赤くしたカオが胸を押して、逃げようとしてくる。

それを許さず、そのまま首筋に噛み付く。

「んっ……いた…」

逃げたことを咎めるように噛みついた私に、カオは涙目で、睨み付ける。

ふっ、と笑い、そのままきつく吸い付く。
赤い跡を一つ付けると、まるで花が咲いたみたいで、もっと付けたくなってくる。

着ていたシャツを脱がせながら、赤い跡を一つ一つと残していく。

「んっ…あ、…」

鼻にかかった声は、甘えているようで、ほんと堪らない。

胸に辿り着くと、慌てたように暴れだす。
けれど、乳首を口に含み、舌で飴みたいに転がすと、ふにゃっと力が抜けた。
「……っ…あぅ」

「カオ…カオ…」

どんどん熱くなる身体を、心を。
少しでも、冷まさないと壊してしまいそうで。

名前を何回も呼んでみる。まるで、止めてくれ、とばかりに。実際はもう、止まらないだろうけれど。

しかし、カオは答えるように「リヒトさん…」と小さく呟いた。

思わず、ギュッと強く抱き、ベッドに押し倒す。

カオを下にして、身体を重ね合わせる。
自分のシャツをはだけさせ、カオの温もりを肌で感じる。
身体のラインを辿るように、人差し指で撫でると、きゅっと唇を噛みしめた。
声を我慢するつもりだろう。
でも、許さない。
可愛い声を聞かせて欲しい。

左手で、柔らかな胸をきゅっと揉む。

「……っ!」

瞳を見開き、思わず声が出そうになったのだろう、両手で口を抑えている。

左はそのままに、右手を下腹部にやる。

着ていたジーンズを少しずつ、ずらしていく。
嫌がるように足に力を入れ、股を閉じる。
そんな無駄な抵抗も、男には欲情を増強させるものでしかなく。

途中まで脱がした服はそのままに、下着の中に手を差し入れた。


< 44 / 76 >

この作品をシェア

pagetop