【長編】私とあなたは、恋をしない。
海と樹は、海が留学してから、一切連絡をとらなかった。


『ホントに愛し合ってるなら、必要ないだろ?
連絡とったら、海を愛しくなる。
だから、別れよう。
海が戻ってきたから、もう一度、やり直そう。』


海は、泣きながら頷いた。


樹の提案に反対は、できなかった。


海が決めた道だから。


『海、泣くなよ。
海と別れたって、誰ともつき合う気ないし。
連絡とらない恋人同士なんてないだろ?』


『樹、じゃあ、最後にキスして。』


海は、もう別れた気だった。


『おいっ。
俺と海が別れんのは、海が旅立つ日だから。
それとも、そんなに別れたいのか?』


海は、樹にスゴイ形相で睨まれた。


『ま、まさか。
ありえないよ。』


『海が旅立つ日まで、今まで以上に思い出作ろうな。』


樹は、海の頭をなでながら言った。


『うん。』



それから、海が留学する日まで、毎日のように一緒にいた。


普段は、とらない写真をとりまくり。


それから、海は、留学した。
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