【長編】私とあなたは、恋をしない。
『俺ら、つきあうことになったから。』


晋平が、夕飯時にさらっと言った。


私の両親と晋平の両親は、仲がいいためこんな風に一緒にご飯なんていつもだ。


さらっと言った晋平の言葉に祝福なんてなくて。


時が止まったよう固まっていた。


なんで?


『もうそんな年よね。』


呟くように私のお母さんが言った。


『もうすべてを話さなくては、ならないな。』


晋平のお父さんは、辛そうだった。


『手を遅れになる前に。』


私のお父さんまで。


なに?


『もう、充分手遅れよ。』


晋平のお母さん?



手遅れって、なに?



私と晋平って、つきあっちゃダメなの?


ただの幼なじみよね?


なんで?



私は、すべてを知るのが怖かった。
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