恋する心は“あなた”限定
なんで急に…?
目を見開いていると、雅お兄ちゃんがこちらに振り返った。
「結構前から思ってたんだ…。俺、由優の実際の兄貴じゃねぇんだからさ、普通に“雅哉(マサヤ)”って呼べよ…。」
そ…そんな…
今までずっと雅お兄ちゃんだったのに…
呼び方って、すぐに変えるのは難しいよ…。
私が何も言わずに見つめていると、雅お兄ちゃんは保健室の扉を開ける。
「雅お兄ちゃん……」
いつもと少し様子が違う気がして、近くに行こうとしたけど…
空守君に腕を掴まれたままの私は、ソファーから立ち上がることも出来ずに、雅お兄ちゃんが出ていく後ろ姿をただ見ているだけだった。