恋する心は“あなた”限定
「あ…ありがとう。ここでいいよ。家まで送ってもらっちゃうと、空守君も少し戻らなきゃいけなくなっちゃうから。」
由優の家へと続く桜並木の道の手前まで来ると、ピタリと歩くのを止めた。
「別に戻ったって構わねぇよ。家まで送る。」
多分、由優はまた迷惑かけるとか思ってるんだろうな…。
「いいよいいよ。家まで直ぐだから。今日は…わざわざ保健室…付き合ってもらっちゃってごめんね。それじゃあ…」
フルフル首を横に振った由優は、少しだけ笑みを浮かべると、そのまま走って行ってしまった。
なぁ、由優…
保健室で勉強したこと、“ごめんね”なんて謝るなよ…。
俺は、由優の傍に居れて嬉しかったんだからさ…。