恋する心は“あなた”限定
「一応だけど、俺…空守 理緒。よろしくな。」
素っ気ない声だったけど、私は思いもよらない言葉に瞬きを何回もした。
空守君って律儀なんだ…。
こんな私にも、わざわざ自己紹介してくれるなんて…。
私もちゃんと挨拶した方がいいよね…。
名前……本当はあまり言いたくないけど、偽名とか使うわけにもいかないし…。
「私、包海 由優です。空守君、これから宜しくお願いします。」
なるべく空守君を見ないように、意識しないように挨拶をした後、視線は窓の外へと向けた。