恋する心は“あなた”限定
「あ…あの…、ちょっとだけカバン置かせてね…。」
座っている女の子に小さな声で言って机にカバンを置いた。
やっぱり“退いて!”とは言えないよ…。
みんな理緒のことが好きだからお喋りしに来てるんだもんね…。
それに、私と理緒が付き合ってることは…未だに静乃意外の女の子たちには内緒にしてる。
照れもあるけど、理緒ファンの女の子たちの反応が怖いし、申し訳なさもあるから…。
そんな状況で堂々と座ったりしたら、他の女の子たちにもバレそうだよね…付き合ってること…。
そうだ…、保健室にでも行こうかな…。
そう思い、自分の席から離れようとすると…
「あのさ、退いてくれない?そこ、由優の席なんだけど。」
突然、理緒の低い声が響いて女の子たちは静まりかえった。